(株)ふもとっぱらとKGIMによる、デジタル林業事業実証の開始について

2023年5月17日
ニュースリリース

 株式会社ふもとっぱらは、静岡県富士山麓にて富士山麓毛無山の原っぱに 24Ha(東京ドーム5個分)を超す日本最大級のキャンプ場を運営する事業者 であり、隣接する総面積719Haに及ぶ森林を管理する林業事業も手掛けています。

 興農GPSSインベストメントマネジメント合同会社(通称KGIM https://kgim.co.jp/)は、デンマーク国民農学校を模範とし、1929年4月に静岡県沼津市にて開校した私立農学校を起源とする興農学園と、再生可能エネルギー事業を数多く手掛けるGPSSグループ(https://gpssgroup.jp/)との合同会社です。

日本最大級のキャンプ場 静岡県ふもとっぱらキャンプ場

 この度両社は、静岡県ふもとっぱらにて、静岡県及び中部地域においてデジタル技術や先進技術 を活用した林業事業基盤を創成する共同事業を行うことで合意しました。 

【共同事業の骨子】

  1. ふもとっぱらの持つ森林資産のカーボンクレジット事業
    ふもとっぱらが所有する森林資産を対象とし、人工衛星とドローンLiDAR測量を通じて得たデジタルデータを以てカーボンクレジットの組成、並びに森林伐採と植樹計画のモニタリングを行います。今般組成するクレジットは、J‐クレジット のみならず、欧州基準のモニタリング基準をクリアすべく厳格な管理基準を適用しています。
  2. 林業基礎オペレーションとデジタル測量を担う人材育成事業
    ふもとっぱら森林事業部は、林業を通じた山の保全と循環に取り組んでいます。次世代を担う若者への林業基礎教育もそのひとつですが、ここにカーボンクレジット組成やICT測量に必要なデジタル測量ノウハウを付加し、林業従事者の事業多角化と就労者の賃金アップに繋がる仕組みを目指します。
  3. 重量物搬送用ドローンによる機材搬送と林業オペレーション効率化と横展開

    ふもとっぱら森林事業部と共同で山間部への資材や工具搬送をドローンで行うオペレーションの実証を行います。林業従事者の業務効率化と安全確保を目指しながら展開 します。

     

【事業を通じた地域課題の解決】

 日本国土面積約3,800万Haの内、森林が占める面積(森林率)は約68.5%であり、 先進国においてはフィンランドに次いで世界第2位です。こうした中、林業においては従事者高齢化と担い手不足が深刻化し、廉価な輸入木材が国内林業を圧迫していることなどの産業構造上の問題が発生しています。また、間伐や下刈りがなされない人工林では表土の流出や土砂崩れなどの災害が発生しています。林業の育成は国土大半を占める森林の管理に資するだけでなく、ウッドショックやウクライナ紛争などの海外要因で不安定になった木材の安定供給にとって大変重要な地域課題です。

 KGIMでは広範な森林面積を短時間でデジタルデータ測量し、森林伐採と植樹計画の進捗を定期的に把握しながら 林業の効率的経営を支援するだけでなく、デジタルデータによるエビデンスを整備しつつ欧州基準をクリアし グローバルにトレーディングできるカーボンクレジット事業の組成を行います。こうした試みを通じて、当社は林業就職を希望する若者へデジタル測量ノウハウを伝授して林業担い手の給与水準向上を目指すだけでなく、カーボンクレジット事業における収益を林業へ還元し、国内林業における安定雇用促進を目指します。

 また、遠隔地や高地における危険な作業をサポートするため、デジタル測量用と資材運搬用、2種類のドローンを導入し、協調飛行を通じて100Kg近い重量物を運搬するオペレーションにも挑戦。これにより、林業面積あたりの人数を軽減し、業務負荷軽減を図ります。

 これら共同事業の成果については、静岡県や近隣森林事業関係者と共有し、中部地域全体の林業人材育成にも寄与していく予定です。   

本件についてのお問い合わせ
興農GPSS広報グループ
info@kgim.co.jp

添付資料

【株式会社ふもとっぱらの事業内容及びKGIMとの共同事業詳細】

 ふもとっぱらの森林事業部は、林業を通じた山の保全と循環に取り組んでおり、木材 の取材・製材、登山道の完備、並びに間伐・植樹などを通じて土砂崩れなどの自然災害 を抑制し、森林若返りを目的とした山の管理を行ってきました。この事業ノウハウは、 「緑の雇用事業」という人材育成事業を通じて、次世代の林業担い手へと伝達されてきました。

 KGIM は、ふもとっぱらが掲げている林業を通じた自然との共生、並びに稼げる林業 事業者の育成理念に共感し、林業分野のデジタル事業化とマシーンオペレーションノウ ハウの促進のため、新規事業パートナーとして共同事業に取り組みます。まず、J‐ク レジット制度 に基づく森林カーボンクレジットを組成し、ふもとっぱらの森林伐採計画 と履行をタイムリーにモニタリング。土木測量や森林モニタリングを行います。森林モニタリングについては、人工衛星画像や LiDAR 点群データを駆使し て厳格な欧米基準のカーボンクレジット審査基準を満たすことを目指しています。 また、再生可能エネルギー発電事業を手掛ける GPSS グループ企業各社の測量ノウハ ウなどを導入し、日本における森林資産全体のデジタル測量のデファクトスタンダード を構築します。また、ふもとっぱら森林事業部による山間部での作業サポートを行うた め、40㎏を超す工具資材運搬の実証を行い、安全でより効率的で安全な林業オペレーショ ンフローを構築します。前述の事業ノウハウは両社共同で開発し、ふもとっぱらを中心としてまずは静岡県と中部地域へ展開 していきます。  

ふもとっぱら所有森林にて行う「緑の雇用事業」
デジタル測量と重量40KG貨物搬送に使うドローン